ヘアゴムが髪にダメージを与えるメカニズム
そもそも、なぜヘアゴムは髪を傷めるのでしょうか。原因は主に「摩擦」と「圧力(締め付け)」の2つです。
髪の表面はキューティクルと呼ばれる、うろこ状の層で覆われています。このキューティクルはアルカリや熱に弱く、物理的な摩擦によっても剥がれやすい構造です。ヘアゴムを結んだり外したりするたびに、ゴムと髪の間で繰り返し摩擦が生じ、キューティクルが少しずつ削られていきます。
さらに、ゴムの締め付けによる「圧力」は髪の内部構造に負荷をかけます。特に同じ位置で毎日結び続けると、その部分の髪が細くなったり断面が変形したりして、やがて切れ毛の原因になります。
つまり、摩擦を減らし締め付け圧力を分散できる素材を選ぶことが、ダメージ軽減の基本戦略となります。最終的には担当の美容師に相談しながら、自分の髪質に合ったゴムを選ぶことをおすすめします。
ヘアゴムの素材別|髪への負担を徹底比較
市販されているヘアゴムの素材はさまざまです。代表的な種類と、それぞれの髪への影響を比較してみましょう。
①天然ゴム・合成ゴム(裸ゴム)
最も手軽で安価な素材ですが、髪への負担は最も大きいカテゴリーに入ります。表面がゴム素材むき出しのため摩擦係数が高く、髪に絡みつきやすい性質があります。外す際に引っ張ると髪が一緒に引きちぎられることも多く、切れ毛の原因になりやすいと言われています。濡れた髪には特に絡まりやすいため、使用は避けた方が無難です。
②布製ヘアゴム(シュシュ・布巻きタイプ)
表面が布で覆われているため、裸ゴムより摩擦が軽減されます。また、接触面積が広い分だけ圧力が分散されやすく、跡がつきにくいのが特長です。ただし、布の素材によって摩擦の程度は異なります。コットン素材は吸湿性は高いものの摩擦はやや強め。シルクやサテン素材は滑りが良く、キューティクルへのダメージを抑えやすいとされています。
③シリコン製ヘアゴム
近年人気が高まっているシリコン素材は、表面が滑らかで摩擦が少なく、跡がつきにくい素材の代表格です。また伸縮性が高いため、強く締め付けすぎることなく髪をまとめられます。ただし、細い髪や傷んだ髪では滑ってほどけやすいというデメリットもあります。スポーツや就寝時の使用には向かない場合があります。
④スパイラル(コイル)ヘアゴム
らせん状のコイル形状が特徴のスパイラルヘアゴムは、髪との接触面積が点状になるため、線状の跡がつきにくい設計です。締め付け力が分散され、長時間つけていても痛みにくいとされています。プラスチック素材のものが主流で、耐水性があり使いやすいのもメリットです。ただし、細い髪にはやや滑りやすく、太めの髪や毛量の多い方に向いていると言われています。
⑤ベルベット・フロッキー素材
表面にビロード状の起毛加工が施された素材です。滑り止め効果があり、少ない締め付けでもしっかり髪をキープできます。摩擦はやや強めですが、締め付け力を弱くできる分、総合的な負担は軽くなる可能性があります。
| 素材 | 摩擦の少なさ | 跡のつきにくさ | ホールド力 | おすすめの髪質 |
|---|---|---|---|---|
| 裸ゴム | △ | △ | ◎ | —(不推奨) |
| 布製(シルク系) | ○ | ○ | ○ | 細め・傷んだ髪 |
| シリコン | ◎ | ◎ | △〜○ | 健康な髪・普通〜太め |
| スパイラル | ○ | ◎ | ○ | 太め・多め |
| ベルベット | △〜○ | ○ | ◎ | 滑りやすい髪 |
ヘアゴムの「跡」がつく本当の原因と対処法
「跡がつく」という現象は、ゴムの締め付けによって髪のタンパク質(ケラチン)の結合が一時的に変形した状態です。濡れたまま結んだり、長時間同じ位置で結び続けたりすることで跡が深くなります。
対処法として有効なのは以下の方法です。
- 温かい蒸しタオルを当てる:水分と熱でタンパク質の変形が戻りやすくなります。約2〜3分当てるのが目安です。
- スチーマーやドライヤーの温風(低温)を使う:水分を与えながら温めることで跡が緩和されやすくなります。
- 髪を濡らして乾かす:最もシンプルで効果的な方法です。シャワーで濡らして自然乾燥または低温ドライで乾かしましょう。
ただし、跡が毎日深く残るようであれば、ゴムの素材や結ぶ位置・強さを見直すことが根本的な解決策になります。
ダメージを最小限にするヘアゴムの正しい使い方
素材選びと同じくらい重要なのが「使い方」です。どんな素材のゴムでも、間違った使い方をすれば髪を傷めます。以下のポイントを意識しましょう。
- 結ぶ位置を毎日少しずらす:同じ場所に繰り返し圧力がかかると断毛リスクが上がります。位置を1〜2cm変えるだけで負担を分散できます。
- 締め付けは「ゆるすぎず、きつすぎず」:ゴムを通す回数を調整し、締め付けを適切に保ちましょう。ピンと張った状態は負担大です。
- 濡れた髪では結ばない:濡れた髪はキューティクルが開いており、非常に傷つきやすい状態です。できるだけ乾いた状態で結びましょう。
- 外すときは慎重に:引っ張って外すのではなく、ゴムを指でゆっくり広げながら外します。専用のゴム外しアクセサリーも活用できます。
- 就寝時は結ばない、または緩くお団子に:寝返りで枕との摩擦が加わるため、できれば寝るときはほどくか、緩めたお団子ヘアにとどめましょう。
髪質別|あなたに向いているヘアゴムの選び方
髪質によって最適な素材は異なります。自分の髪の特徴を把握した上で選ぶとより効果的です。
細い髪・傷んだ髪の方
キューティクルが薄く剥がれやすいため、シルクやサテン素材の布製ヘアゴムが推奨されています。滑りが良く、摩擦によるダメージを最小限に抑えられます。シリコン製も摩擦が少なくおすすめですが、細い髪ではほどけやすい場合があります。また、ゆるめに結ぶことを意識するとよいでしょう。
太い髪・多い髪の方
ホールド力が必要なため、スパイラルゴムやベルベット素材が向いています。太い髪はある程度の締め付けがないとほどけやすく、逆にその分ゴム跡も深くなりがちです。スパイラルゴムは接触面積が点状のため、跡がつきにくい点でも優れています。
カラー・パーマなど化学処理をした髪
薬剤処理によってキューティクルが開きやすく、内部のタンパク質も失われている状態です。摩擦が最も少ないシリコン素材か、シルク系の布製ゴムを選ぶことが推奨されています。また、ヘアオイルやヘアミルクで表面をコーティングしてから結ぶとさらにダメージを軽減できる可能性があります。担当の美容師に相談しながら、ヘアケアと合わせてゴム選びを見直すのがおすすめです。
美容室での「頼み方」|ヘアゴムダメージを相談するコツ
ヘアゴムによるダメージが気になる場合は、美容室でしっかり相談することが解決への近道です。その際、以下のように具体的に伝えると、担当の美容師が適切なアドバイスをしやすくなります。
「毎日ポニーテールにしているのですが、同じ位置に切れ毛が増えてきました。ゴムの跡も深く残りやすくて…。髪質に合ったゴムの素材を教えてもらえますか?また、結び方で気をつけることはありますか?」
美容師は髪質・ダメージ状態・毎日のスタイリング習慣を総合的に見て、最適なアドバイスをくれます。また、施術前後のトリートメント選びや、自宅でのケア方法についても一緒に相談することで、より効果的な改善が見込めます。
「ゴムで結ぶことが多い」という生活習慣を事前に伝えると、カット時に同じ位置に負担がかかりにくい髪型を提案してもらえることもあります。