ブリーチ後の色落ちはなぜ人によって違うのか?まず「メラニン色素」を理解しよう
髪の色を決めているのは、毛皮質(コルテックス)の中に存在するメラニン色素です。このメラニンには大きく2種類あり、それぞれ性質が異なります。
- ユーメラニン(真性メラニン):黒〜茶色を担う色素。分子が大きく、粒状に存在している。
- フェオメラニン(赤味性メラニン):赤〜黄色を担う色素。分子が小さく、繊維状に分散している。
日本人を含むアジア系の髪はユーメラニンが多い傾向があり、欧米人と比べるとブリーチで色を抜きにくい構造になっています。ブリーチ剤に含まれる過酸化水素とアルカリ剤がメラニンを酸化・分解するのですが、ユーメラニンはフェオメラニンより先に分解されるという重要な特性があります。この順序が、色落ちの過程に大きく影響します。
ブリーチ色落ちの順序|黒→茶→赤→オレンジ→黄→淡黄の6段階
ブリーチによる脱色は、段階的に進みます。一般的には以下の順序で色が変化していきます。
| 段階 | 髪の色の目安 | 残っている色素 |
|---|---|---|
| 1 | 黒 | ユーメラニン(大量)+フェオメラニン |
| 2 | 濃い茶色 | ユーメラニン(中量)+フェオメラニン |
| 3 | 赤茶〜赤み強い茶色 | ユーメラニン(少量)+フェオメラニン |
| 4 | オレンジ | ユーメラニン(極少)+フェオメラニン |
| 5 | 黄色〜ゴールド | フェオメラニンのみ(多め) |
| 6 | 淡い黄色〜白に近い | フェオメラニン(微量) |
つまり、ブリーチは最初にユーメラニン(黒・茶)を壊し、最終的にフェオメラニン(赤・黄)が残る、という流れで進みます。完全なホワイトブリーチにはフェオメラニンを限りなくゼロに近づける必要があり、複数回のブリーチが必要になる場合があります。
赤みが残りやすい髪の特徴と要因|ユーメラニンが多い・硬い髪質
「1回ブリーチしてもオレンジっぽい赤みが消えない」という方は、以下の要因が考えられます。
ユーメラニンの量が多い
もともと黒髪が濃い方や、地毛が太くて硬い方はユーメラニンの密度が高い傾向があります。ブリーチがユーメラニンの分解に多くのエネルギーを使うため、フェオメラニンの段階まで到達する前に施術が終わってしまい、赤みの段階(段階3〜4)で止まりやすくなります。
髪が太い・硬い(高密度コルテックス)
髪が太く密度が高いと、ブリーチ剤が内部まで浸透しにくくなります。外側は脱色されていても、内部にユーメラニンが残存していることで、光の透過で赤みやオレンジとして見えることがあります。
ブリーチの放置時間・薬剤強度が不十分
施術上の問題として、放置時間が短かったり、使用するブリーチ剤のパワー設定が低すぎたりすると、脱色が段階3〜4で止まり赤みが残ります。頭皮への負担を考慮してあえて抑える場合もありますが、赤みを消したい方には適切なパワーの設定が重要です。
黄色くなりやすい髪の特徴と要因|フェオメラニンが表面に出やすい構造
「ブリーチしたらすぐ黄色くなった」「明るくなりすぎて黄ばみが気になる」という方には別の特徴があります。
もともとユーメラニンが少ない(地毛が明るめ)
地毛がもともと明るい茶色や柔らかい質感の方は、ユーメラニンが少ない分、ブリーチが素早く進みやすい傾向があります。段階3〜4の赤みの時間が短く、すぐに段階5の黄色へ移行します。
軟毛・細毛(低密度コルテックス)
髪が細く柔らかい方はブリーチ剤が浸透しやすい反面、過剰に反応してフェオメラニンの段階まで一気に進む可能性があります。さらにキューティクルが開きやすいため、カラー剤の定着が悪く、色落ちも早くなりがちです。
ブリーチのオーバープロセス
施術時間や薬剤が強すぎた場合、一気に黄色〜淡黄まで脱色が進みます。これ自体は悪いことではありませんが、後からオンカラーを入れても定着する土台(髪内部のたんぱく質構造)がダメージを受けているため、退色がより早くなることがあります。
色落ちの速さに影響するその他の要因|日常ケアと環境
ブリーチ後の色落ちスピードは髪質だけでなく、日常生活における習慣や環境にも大きく左右されます。
- シャンプーの頻度と湯温:毎日のシャンプーや高温のお湯(38℃以上)はキューティクルを開かせ、色素の流出を加速させます。洗髪はぬるま湯(35〜37℃)が推奨されています。
- 紫外線:UV(紫外線)はメラニンだけでなく、人工的に入れたカラー色素も酸化・退色させる要因です。特に黄みは紫外線で強調されやすい傾向があります。
- ドライヤーや熱ツール:過度な熱はキューティクルを傷め、色素の流出を早めます。ヒートプロテクト製品の使用が推奨されています。
- プール・海水:塩素や塩分はカラー色素の分解を促進します。水泳後は速やかにシャンプーすることが推奨されています。
- シャンプー剤の種類:硫酸系(ラウレス硫酸Na等)を含む洗浄力の強いシャンプーは色落ちを早める傾向があります。アミノ酸系やベタイン系のシャンプーへの切り替えが推奨されています。
赤みを抑えたい・黄ばみを抑えたい|カラーシャンプーとオンカラーの選び方
ブリーチ後の色調コントロールには、大きく2つのアプローチがあります。
カラーシャンプー(ムラシャン・シルバーシャンプー等)
黄ばみが気になる方には、補色関係にある「紫(バイオレット)」を含むカラーシャンプー(いわゆるムラシャン)が有効です。色相環で黄色の反対に位置する紫が、黄みを中和してくれます。
赤みが気になる方には、赤・オレンジの補色である「青〜緑」系のカラーシャンプーが選択肢になります。ただしあくまで補助的なケアであり、根本的な脱色の不足は美容室でのブリーチ追加が必要になる場合があります。
オンカラー(ブリーチ後に入れる色)の選択
赤みが残った状態でカラーを入れる場合、青や緑を補色として配合したカラー剤を使うことで赤みを抑えることが可能です。黄みが強い状態では、アッシュ・スモーキー系のカラーを重ねることで落ち着いた仕上がりを得やすくなります。いずれも担当の美容師に「色落ちの経過と現在の色み」を正確に伝えることが重要です。
美容室での頼み方|担当スタイリストに伝えるべき情報
ブリーチ施術や色味の相談をする際、以下の情報を事前に整理して伝えると、スタイリストがより的確な提案をしやすくなります。
✅ 前回のブリーチからの経過日数と現在の色の状態(赤みが残っているのか黄色っぽいのか)
✅ 過去のカラー・ブリーチ履歴(何回ブリーチしているか、縮毛矯正・パーマ歴はあるか)
✅ 希望の仕上がり色と色持ちへの優先度(鮮やかさ重視か、退色後も綺麗でいたいか)
✅ 日常ケアの状況(シャンプーの頻度、熱ツールの使用頻度、カラーシャンプーの有無)
✅ 頭皮や髪のダメージ感(切れ毛・ビビリ毛の有無)
特に「赤みを消したい」「黄ばみを抑えたい」という明確な希望がある場合は、その言葉をそのままスタイリストに伝えてください。色の方向性がわかることで、使用するブリーチのパワー設定やオンカラーの色味を適切に調整できます。最終的には担当の美容師に相談し、お客様の髪質と目標に合った施術計画を立てていただくことを推奨します。